知られていない貧困問題

20161226161244_00001本日は、本年最後の「子ども若者の貧困を考える井戸端会議」でした(毎月第4月曜日10:00~12:00宮崎市民プラザ3階)。

毎回、多彩な方の参加で、話を聞くだけでも参考になる井戸端会議でした。活動の報告だけでなく、たまには愚痴を出し合い、悩みを聞いてあげたり、課題を整理しあったりと、支援する側の支援も出来たような場でした。

これまでの井戸端会議で話されたことを備忘録として少し整理してみました。
1、情報が届かない
「どこで、誰が、どんなことやっているのかわからない」というのが現状です。行政での取り組みや連携、支援活動がまだまだ知られていません。貧困世帯に情報が届いていない、あるいは支援を拒否するケースもあります。また、当事者に困り感がない、自覚していない、将来のことを考えられないことも話題にあがりました。

2、プライドとプライバシー
当事者の方にも、当然、自尊心や羞恥心があります。それを無視した支援の押し売りは逆効果で、信頼関係を損いかねまんせん。レッテル貼の問題もそうですが、特別視されることを嫌う場合もあります。家庭全体が問題を抱え、多方面の支援が必要な場合、そのうちの一人でも信頼関係を築くことが大事だということなりました。

3、支援する場所の問題
「私も何かお手伝いしたい、何かできることはないか」という方はたくさんいらっしゃいます。しかし、拠点となる場所がない。自治公民館が理想ですが、個人の自宅や団体の事務所、寺院や教会で行われているのが現状です。当事者の居場所づくりも含めて、場所の確保がもっと容易になれば、活動の輪も広がります。

4、支援する人の問題
「何のためにやっているのか疑問」という意見もありました。個人の善意だけではなかなか長続きしません。また、さまざまな問題を抱える当事者をコーディネートする専門家がどうしても必要になります。そのための人材育成や研修が必須だということも挙げれました。合わせて、助成金申請の書き方は初心者には難しく、そのノウハウも話されました。都市部では行政書士などがそれを仕事としてやっているところもあるそうです。

5、地域とネットワーク
最終的には、「地域づくりとネットワークづくり」が目標になるということは何度も確認されました。ケースワーカーや民生委員、スクールソーシャルワーカーとのアウトリーチ(戸別訪問)の必要性も言われましたが、個人情報保護が壁となってなかなか進みません。その壁を破るのは地域の「おせっかい家さん」でしょうとも言われます。子ども食堂もそうかもしれません。

6、制度の問題
日常レベルでいくら支援しても根本的な解決にはならないという意見もありました。給付型奨学金や子ども医療費無償、子育て支援制度など、セーフティネットの制度をちゃんと作らないと焼石に水だというわけです。それまで待てない緊迫した家庭もあるということで、とりあえず、できることからやっていこうということは共通理解できました。

7、ミスマッチ
貧困世帯への支援ということで物資支援も行われていますが、自宅の整理でその処分先として寄贈を考えていたり、ボランティア希望の方も仕分け作業を嫌がられたり、当事者から子どもの弁当を作ってくれと言われたり、いろんなミスマッチの実態も話されました。同時に、当事者の方が支援する側になったり、当事者の能力(素質)を活かす手立ても大事ということも出されました。

8、社会に知られていない
新聞報道やマスメディアでは貧困問題が取り上げられるようになりましたが、身近な問題としてまだまだ認知されていません。貧困の実態やその要因、将来への影響など、人々の意識のなかでは他人事に終わっている現状を、まず変えていくことが大事だということも話されました。

支援が先走り過ぎて、この井戸端会議で話されるようなことが一般化していない実態があります。児童養護施設がどんな施設か、知らない人々がたくさんいるということです。基本的な認識を広め、いろんな場で貧困の実態を話すことをもっと心掛けねばと思ったところでした。

2016年度WAM事業報告会「子ども若者の貧困を考えるシンポジウム」案内(下記チラシ参照)

312WAMチラシ