情報科教員の実態

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11月18日(金)に宮崎県高等学校教育研究会情報部会研修会が開かれました。全国大会(神奈川大会)の報告や情報科教員の全国実態調査(電気通信大中山泰一准教授他)の紹介もあり、情報を担当する教員の悩みや課題が話題になりました。

研修では埼玉県立庄和高等学校大谷光教諭の年間を通しての授業実践やワークショップがありましたが、そのなかでも参加された先生方から悩ましい実態が出されていました。

中山準教授の調査によれば、全国的に情報科の専任教員は2割しか採用されておらず、ほとんどの県で臨時免許状か、免許外教科担任で「情報」を教えている実態が明らかにされています。

情報科担当教員の全国実態(毎日新聞提供)
高等学校情報科における教科担任の現状(情報処理学会報告
教科「情報」に関わる情報(河合塾提供)

宮崎も専任採用は1人しかおらず、実際、教科「情報」を担当する教員は、他教科との兼任や臨時的任用講師、若手が多いという実態にあります。

しかも問題は、ただ情報を担当しているということだけで、ICTに詳しいと誤解され、校内のICTに関わる業務(業務外業務)がまわってくるということが口々に語られます。

当日のワークショップでも次ような業務があげられていました。

担当している業務外業務

①校内ネットワークの維持管理・トラブル対応
②校務支援システム(成績処理等)の管理
③学校ホームページの更新
④授業でのICT機器活用サポート、指導助言
⑤共有フォルダの管理・生徒の作品管理

意見、要望のなかでは、次のような悩みが述べられていました。

①専門教科外なので指導に不安がある
②担当がひとりで相談する人がいない
③研修の機会がない、参加できない、情報が入ってこない
④業務外業務を任されて多忙

そのようななかで高等学校ではなかなかICT活用が進んでいません。タブレット等は全校整備されたものの次のような問題を抱えています。

①使い方がわからない
②準備に時間がかかりすぎ
③授業中のトラブルに対応できない
④研修の機会がない、研修の時間がない
⑤ICTの必要性を感じない、効果に疑問
⑥ICT支援員がいない

何より、タブレットを整備する前に十分な現場ヒアリングが行われたこともなく、予算や仕様、入札制度の絡みからandroid端末が整備され、使われる先生方はごく少数に限られるという話もお聞きしました。

担当者の専門研修では、ipadを使った講義があったということもお聞きし、現場とのマッチングに配慮が欲しいなと思うところです。

まず先生方に使ってもらう、便利さや楽しさを実感してもらう、それがなければ、授業で使おうなどとは思われないでしょう。その手立てをぜひ組み立てて欲しいものです。

それと業務外業務については、若手の講師が多いということから、なかなか拒否はできず、立場の弱い人にしわ寄せが来ている問題はずっと棚上げにされてきています。

ネットワークトラブル等は簡単に解決できる問題でもなく、担当の先生方から、以前、抗議にも似た意見が出されたことがありました。

教育のICT活用から、教育に対する情熱や面白さが削がれていってはなりません。まず、現場の先生方の意見に耳を傾けることから始めて欲しいものです。